マーケットインとは?プロダクトアウトとの違いやメリットを事例とあわせて解説!
商品やサービスを開発する際には、顧客のニーズを中心に製品やサービスを開発する「マーケットイン」と、自社の技術力や企業方針に基づいて製品を開発する「プロダクトアウト」の2つの手法があります。
どちらも新しい製品を開発・販売するために必要な考え方です。
今回は、それぞれの手法のメリット・デメリットと事例をわかりやすく解説していきます。
2つの違いを、自信をもって答えられる自信がないな…。
自社の方針に合った施策を選択するためにも、両社の違いをしっかり理解しておきましょう!
マーケットインとは顧客が必要としている製品を提供する方法
マーケットインとは、市場や顧客のニーズに基づいて製品やサービスを提供する手法のことです。
つまり、市場調査を通じて本当に求められているモノを開発し、提供することに重点を置いています。
顧客中心主義であり、市場の動向を把握して市場に合わせた製品開発を行います。
マーケットインのメリット
マーケットインのメリットは、以下の3つがあります。
メリット
- 顧客が本当に必要としている製品を提供できる
- 売上を予測しやすい
- 開発目標を設定しやすい
それぞれ詳しく紹介していきます。
顧客が本当に必要としている製品を提供できる
マーケットインのアプローチでは、ターゲットとする顧客のニーズを細かく調査し、それに基づいて自社製品の開発・提供を行います。
顧客ファーストの姿勢を示すことで、企業のイメージアップやブランディングにもつながります。
製品のリピート購入を促進することもできるため、長期的な顧客獲得にも繋がり安定した売上を確保しやすいです。
売上を予測しやすくなる
市場ニーズを的確に把握して製品開発・提供を行うことで、売上予測がしやすく事業計画の策定にも役立ちます。
ニーズに合った商品を開発するのである程度の売上を見込むことができ、開発コストを回収できないといったリスクを回避することもできます。
顧客の満足度とリピート率の向上にも繋がり、市場競争力の強化や安定的な売上の確保が期待できます。
開発における目標を設定しやすくなる
多くの場合、製品開発の目標は「顧客が必要とするモノ」に基づいて設定されます。
例えば、安価な牛丼を求める顧客がいる場合、開発目標を「どのような味が好まれるか」と「どの程度の価格で販売することができるか」に設定し、スムーズに開発を進めることができます。
顧客の要望を取り入れた製品開発を行うことで、製品の評価や売上の向上に繋がり、顧客からの信頼も高めることができます。
マーケットインのデメリット
マーケットインのデメリットは以下の3点です。
デメリット
- 製品が必ず売れるわけではない
- 競合他社に同じような製品を開発されるリスクがある
- 自社のブランドイメージが形成しにくい
それぞれ詳しく紹介します。
製品が必ず売れるわけではない
マーケットインでは顧客ニーズを満たす製品の開発が最優先されますが、画期的な製品を開発することは難しくなります。
斬新さや画期性がなくてもある程度の成功を収めることができますが、一方で大ブームを巻き起こすような革新的な製品を開発するのは難しいです。
それでも市場のニーズに合った製品を提供することで、持続的な売上を確保することができます。
持続的な売上を確保することは、企業や事業の成長にとって非常に重要です。
競合他社に同じような製品を開発されるリスクがある
マーケットインによる製品開発では浅いレベルのニーズにフォーカスしているため、他社が製品の類似品を販売するリスクがあります。
このような競合を避けるためには、市場の調査・分析を継続的に行い、改良を加えることが重要です。
また、自社製品の弱点を克服した改良製品を競合他社に販売されないよう、独自性を持った製品を開発することも必要です。
マーケットインで独自性を出すためには、細部まで詳細なリサーチが必要です。
市場のニーズに沿った製品開発に注力することで、自社の製品が競合に負けない優位性を獲得することができます。
自社のブランドイメージが形成しにくい
マーケットインは市場からの要望やニーズを優先的に取り入れるため、自社の独自性やブランドイメージを重視することができない場合があります。
例えば、ある企業が健康志向の市場ニーズに合わせて健康に良いとされる素材を使用した商品を開発する場合、その企業のブランドイメージや独自性が希薄になってしまいます。
市場ニーズに合わせるために、企業が自己主張をしづらくなってしまう場合があるのです。
ニーズを優先することは新規顧客を獲得するためには有効な施策ですが、これまでの顧客を逃してしまう恐れがあります。
プロダクトアウトとは企業が作りたい製品を提供する方法
マーケットインの対義語として、プロダクトアウトがあります。
プロダクトアウトは、企業自らが欲しいと考える製品や企業方針に合致する製品を重視して開発・提供する考え方です。
市場のニーズよりも売り手である企業側の考えに重きを置き、自社が良いと考える製品を開発することを基本としています。
「良い製品を作れば売れる」という信念が根底にあります。
プロダクトアウトは、自社の特徴や価値を最大限に生かせることが特徴です。
プロダクトアウトのメリット
プロダクトアウトのメリットは、主に以下の3つです。
メリット
- 自社の強みや技術力を活かせる
- 大ヒットする可能性がある
- 市場調査のコストを削減できる
それぞれ詳しく紹介していきます。
自社の強みや技術力を活かせる
プロダクトアウトは、自社が開発・提供したい製品を優先することです。
企業が独自で持つ技術や知識を最大限に活用し、市場にニーズがあると考える製品を開発していきます。
自社が持つ強みを生かして製品を開発することができ、競合との差別化や自社のアピールが可能です。
大ヒットする可能性がある
市場には、未だ存在しない製品や革新的なアイデアが求められています。
プロダクトアウトであれば新しいアイデアや概念を取り入れた製品を提供することができ、市場に大きなインパクトを与えることができます。
多くの人々の注目を集め大評判となれば、予想外の大きな売上を得ることも可能です。
市場に先駆けて新たなニーズを創出することができ、競合他社との差別化やブランド価値の向上にも繋がります。
市場調査のコストを削減できる
プロダクトアウトでは自社の考えに基づいて製品を開発するため、市場調査や消費者のニーズに関する情報を収集する必要がありません。
人的・金銭的・時間的な負担を軽減することができ、経営資源をより効果的に活用することができます。
プロダクトアウトのデメリット
プロダクトアウトは自社の強みや技術を活かして新たな製品を開発する手法ですが、その反面デメリットも存在します。
プロダクトアウトのデメリットは主に以下の2つです。
デメリット
- 顧客のニーズに合わない可能性がある
- 売れないときは改善や見直しが必要
それぞれ詳しく紹介していきます。
顧客のニーズに合わない可能性がある
プロダクトアウトの場合、自社が考えた良い商品であれば需要があるという考え方が基本であり、顧客のニーズや要望に合わない可能性があります。
そのため、市場が求める商品を生み出すことができない可能性があります。
在庫を抱えて赤字になる可能性があるので、プロダクトアウトの製品開発には慎重な検討が必要です。
売れないときは改善や見直しが必要
売り上げが伸びなかった場合には、製品の機能やプロモーション方法、市場調査の見直しなど、原因を分析することが必要です。
原因を分析するために、さらに費用や時間がかかることがあります。
製品をリリースしたあとも、改善や修正にかかる費用が発生する可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
マーケットインと比較すると、想定外の事態が生じたときの対処には時間やコストがかかることが多いため、そのリスクを把握しておくことが重要です。
マーケットインとプロダクトアウトの違いは考え方
ここまで、マーケットインとプロダクトアウトについて解説してきました。
マーケットインとプロダクトアウトの違いは、マーケットインでは「売れる商品を作る」という考え方が基本であり、プロダクトアウトでは「良い商品であれば売れる」という考え方が基本です。
マーケットインは顧客のニーズや要望に応じた商品開発を行うため、需要が高い商品を生み出すことができます。
一方で、プロダクトアウトは自社のアイデアや技術力を生かして商品を開発するため、新しい市場を開拓する可能性もあります。
どちらが良くてどちらかが悪いということではありません。
マーケットインやプロダクトアウトといった考え方に捉われず、顧客がまだ気づいていないニーズを先取りする姿勢が重要です。
マーケットインでの成功事例
マーケットインの考え方を活用して成功を収めた企業には、主に以下の3つがあります。
- USJ
- ライザップ
- Windows
これらの企業はマーケットインの考え方を取り入れることで、顧客に本当に必要な商品やサービスを提供し、市場での成功を収めました。
それぞれ紹介していくので、マーケティングの参考にしてください。
USJ
USJは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの略称で、大阪にあるテーマパークです。
2001年に開業したユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、初年度には1,100万人もの集客を誇ったものの、経営破綻状態に陥ってしまいました。
そこでUSJは、訪問者のアンケート結果を元により多くの人が来場したくなるようなアトラクションの開発を行いました。
顧客が本当に喜ぶものを追求することに注力し、人気のある映画やアニメとのコラボレーションを導入。
特に、ハリーポッターシリーズとのコラボレーションは大きな話題となり、過去最高の集客数を達成し、収益を回復することに成功しました。
訪問者からの意見や要望を積極的に取り入れ、施設の改善を行う姿勢もマーケットインの考え方に沿った取り組みであるといえます。
ライザップ
ライザップは、ダイエットジムを展開している企業です。
ライザップは、顧客ニーズに合わせたダイエットプログラムの開発を行いました。
ダイエットや肉体改造に取り組んでいる人たちの大きな課題である3日坊主を解消するため、結果にコミットすることを約束しています。
このことにより、ユーザーのモチベーションを維持し、目標を達成することに成功しています。
顧客の目的やライフスタイルに応じて個別のトレーニングや食事管理を提供することで、高いリピート率を誇っています。
また、ジムだけでなく、英会話やゴルフ教室など多様な事業を展開し、いずれも同じコンセプトでユーザーの気持ちを変えることに注力しています。
Windows
Windowsは、マイクロソフト社が開発したオペレーティングシステムです。
Appleが開発したパソコンに続いて登場したWindowsパソコンは、顧客ニーズに応じた低価格での提供やビジネス向けソフトウェアの提供など、多彩なマーケティング戦略を展開しました。
Windowsは他社にライセンスを開放しているため、多くの外部アプリケーションやデバイスに対応できるようになっています。
顧客からのフィードバックを取り入れ使いやすさや安全性などの向上に努めることで、長年にわたり市場での支持を得ています。
プロダクトアウトでの成功事例
プロダクトアウトの考え方を活用して成功を収めた企業には、主に以下の3つがあります。
- Apple
- SONY
- ポケモンGO
それぞれ詳しく紹介していきます。
Apple
Appleは、プロダクトアウト戦略を採用してiPhoneを開発しました。
市場に先駆けて、画期的なタッチスクリーンやシンプルで直感的な操作性、iTunesとのシームレスな連携などを実現し、需要を創り出しました。
iPhoneの登場により多くのスマートフォンが生まれ、今では1人1台持つのが当たり前になっています。
また、AppleのパソコンMacもプロダクトアウトの成功事例として知られています。
これまで専門分野で使用されてきたパソコンを一般的な用途に適したものにしたため、多くのユーザーが触れる機会を持つことができました。
マウスによる直感的な操作も可能とし、使いやすさという価値を提供することで市場での地位を確立しました。
Appleは市場に大きな影響を与え、その価値は急速に上昇しました。
SONY
SONYも、プレイステーションをプロダクトアウト戦略で開発しました。
家庭用ゲーム機としては初めてCD-ROMを採用し、グラフィック性能の高さや充実したゲームラインナップなどが好評を博し、市場を席巻しました。
また、ウォークマンも音楽を持ち運ぶことができる携帯型の音楽再生機器として、プロダクトアウトの成功事例として知られています。
ウォークマンの登場により、人々は自分の好きな音楽を自由に聴くことができるようになり、音楽文化の普及に大きく貢献しました。
ポケモンGO
ポケモンGOは、Nianticが開発したスマートフォンアプリです。
リアルタイムでプレイヤーが移動する位置情報を利用したAR技術を駆使し、ポケモンを捕まえるゲームが世界中で大流行しました。
収集要素や対戦要素を組み合わせることで、健康志向のユーザーにも楽しく続けられる動機づけを与え、毎日の運動を促進しました。単純な歩行だけではなく、楽しみながら健康になることができるポケモンGOの特徴は、多くのユーザーに受け入れられた価値となりました。
まとめ
マーケットインとプロダクトアウトは、それぞれ企業の事業戦略において重要な役割を担っています。
マーケットインは、顧客中心のアプローチを取ることが特徴で、プロダクトアウトは、企業中心のアプローチを取ることが特徴です。
両者の事例を知ることで、自社の事業戦略に合ったアプローチを選ぶことができるようになります。
より効果的な商品開発やサービス提供が可能になり、顧客満足度や市場シェアの向上に繋がります。
NUVOでは、データを活用した運用戦略により売上の最大効率化をサポートします。
売上を効率良く伸ばしていきたいとお考えの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
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