DXのコンサルとは何か?役割と依頼するときの注意点、成功事例を紹介
近年はデジタル技術を応用させることでビジネスを加速させることが重視されています。現状DX化を達成できていない会社の場合、「これからDX化を進めていきたい」と考えているでしょう。
そこで頼りにしたいのがDXのコンサルです。
自社にDXに関する知識を有した人材が不足していても、DXのコンサルを活用すればスピーディかつ適切なDX化を推し進めることができます。
本記事ではDXのコンサルが果たす役割や利用するメリット、注意点、実際の成功事例などを詳しく解説しているので参考にしてください。
DXに取り組みたいけど、人材の確保や既存システムなど課題が多いな。
DXコンサルタントを活用するとどんなメリットがあるのか、成功事例をもとに紹介していきます。
DXとはデジタルによる変革という意味
本記事を読み進める上での大前提として、DXが「デジタルによる変革」という言葉を意味するデジタルトランスフォーメーションの略語であることを理解しておきましょう。
これまでは人間が行っていた作業をデジタル技術による作業に置き換えることで、一気に作業効率を高めることを狙いとしています。
近年はテクノロジーの発展が急速に進んでいるからこそ、いかにDX化を進めるかが重要です。
経済産業省の発表したレポートによれば、DXが実現できていない場合に年間12兆円規模の経済損失が生じると言われています。
個々の会社単位で競争力を高めることはもちろん、国全体の競争力や経済力を強くするためにもDX化は欠かせません。
DXコンサルタントの役割
DXコンサルタントとは文字通り、DX化の推進を専門に扱っているコンサルタントです。
コンサルタントはクライアント企業が抱える様々な課題を解決するために、課題解決や原因分析、戦略提案、戦略実行などの仕事を行います。
単に戦略を実行するだけではなく、その後の効果測定を通じて修正や改善を図るのもコンサルタントの重要な仕事です。
DXコンサルタントは、どこに効率を妨げている要因があるかを見つけて、その非効率を解消するためのDX方法を提案、さらに実行してくれるというようなイメージで考えると分かりやすいでしょう。
DXコンサルタントは基本的にコンサルティング会社に所属しているので、外部人材を活用しながらDX化を推し進めることになります。
DXコンサルタントのニーズが急増している理由
近年はDXがトレンドワードになっていることもあり、多くの企業がこぞってDX化の重要性を理解しています。
そしてDX化の波が加速するのと比例するような形で、DXコンサルタントのニーズも急増しているのです。
DXコンサルタントのニーズが一気に増加している理由について、3点詳しく解説します。
そもそもDXが難しくてよくわかっていない
DXは業務効率を劇的に向上させられる可能性もある分、当然難しい知識やスキルが求められます。
したがって自社に抱える人材にDXの推進を任せようと思っても、満足のできる成果を得られるとは限りません。
むしろ専門性を持たない自社人材に無理にDX化の仕事を押し付けることは逆効果です。
非常に難しい知識やスキルを求められているからこそ、専門性を有するDXコンサルタントのニーズが急増するという傾向が見られます。
どのような人材を確保したらいいのかわからない
「DXに詳しい人材を新たに採用しよう」と考えても、そもそもどんな人材ならば自社の課題を解決できるのか、判断しづらいのもポイントです。
DXについての理解がある人材を新たに採用できても、専門分野と外れていれば満足のいく成果を挙げられない可能性もあります。
するとDX推進のために投じたコストが無駄になったり、新たに採用活動を行ったりしなければならないなど、大きな損失を被りかねません。
しかしコンサルティング会社に頼れば、自社の課題解決に最適な人材を確保できます。
高額のコンサルタント料を支払う必要はあるものの、いくつものフローを経て採用活動をしても結局適正な人材を採用できない可能性もあることを考えると、十分いに支払う価値のあるコンサルティング料と言えるでしょう。
要件定義ができていない
DX化を推進するためには、最初にしっかりと要件定義を行うことが重要です。
しかしDXに関して見識を持つ人材がいなければ、適正な要件定義ができません。
実際にDXを推進する際には定義した要件を満たすようなシステムを構築していきます。
つまりそもそもの要件定義が誤っていれば、自社にとって大した意味のないDX化になってしまう可能性もあるのです。
しかしDXコンサルタントに頼れば、ヒアリングや現状分析などを通じて素人にはできない課題抽出や目標達成のための要件定義を行ってくれます。
社員を一からDX教育するという手法もありますが、当然長い時間を要してしまうでしょう。
あまりにも時間をかけすぎていると競合他社に大きく後れを取ったり、そもそも学んだDXに関する知識やスキルが古くなってしまったりすることもあります。
しかしDXコンサルタントならば既にDXに関する専門性を有しているので、すぐにDX化を実行可能です。
ビジネスの世界ではスピード感が求められていることに加えて、間違った方向でのDX化を推進しないという意味でも、DXコンサルタントのニーズが高まっています。
DXコンサルティングを依頼することによるメリット
自社の人材でDX化を進めるのではなく、DXコンサルタントに依頼することには様々なメリットがあります。
もちろん高額の費用を支払う必要があるというデメリットこそあるものの、それを補って余りあるだけのメリットがあることを知っておきましょう。
メリット
- 現状を客観視できる
- 第三者の立場からアドバイスをもらえる
- 業界のトレンドや最新情報を反映できる
- ノウハウを提供してもらえる
現状を客観視できる
DXコンサルタントはプロジェクト期間中こそ社内に常駐することが多いものの、あくまでも外部の人材です。
したがって自社の社内では特に気にしていなかったような点でも、「おかしいな」「非効率だな」と感じる点があればどんどん指摘してもらうことができます。
DXコンサルタントという外部人材を登用することによって、現状をより客観的な視点から捉えられるようになるのが大きなメリットです。
客観的に現状を見ることによって、自社では全く意識していなかった点にボトルネックが見つかるという可能性もあります。
第三者の立場からアドバイスをもらえる
DXコンサルタントという外部人材を登用することによって、第三者の視点から適切なアドバイスを受けられるのも大きなメリットです。
特に経験豊富なDXコンサルタントの場合は、恐らく他社でのコンサルティング経験もあるでしょう。
したがって自社の人材だけではなかなか得づらい「他社と比べて」「業界の中で」といった視点を得ることができます。
DXにより業務効率化を推進する大きな目的は「自社の優位性を作る」という点にあるだけに、第三者視点で他社と比較しつつアドバイスを受けられることは非常に重要です。
業界のトレンドや最新情報を反映できる
DXコンサルタントは常にDXに関するトレンドや最新情報を追っています。
それが重要な仕事の1つであるためです。
したがってDXコンサルタントに依頼することで、DXに関する業界のトレンドや最新情報を得られるというメリットもあります。
もちろん自社人材に最新情報のキャッチを任せることもできますが、そもそもDXの基本的な知識を有していなければいまいち意味を理解できないでしょう。
またDX以外の仕事も任せている場合には、どうしても最新情報のキャッチが遅れてしまう可能性もあります。
テクノロジーの移り変わりは激しいので、せっかくキャッチした情報が既に古くなっているということも珍しくありません。
しかしDXコンサルタントはDXを専門にしているので、誰よりも早くトレンドや最新情報を掴んでいます。
そして実際の要件定義やシステム構築に落とし込む見識やスキルも有しているので、最新のトレンドを自社のDX化に反映させることもできます。
ノウハウを提供してもらえる
コンサルタントはこれまでに多くの企業でのコンサルティングに携わってきた経験があります。
またDXについては精通していることもあって、一緒に仕事をする中で役に立つ様々なスキルやノウハウを提供してもらえるのも大きなメリットです。
教科書通りのことだけではなく、より実務的なスキルやノウハウを得られるでしょう。
自社の人材がDXコンサルタントと一緒に仕事をすることには、DXのOJTのような意味合いもあると言えます。
コンサルティング会社は成果主義を採用していることも多く、自分が関わった企業で満足のいく成果を残せなければ、昇給や昇格ができません。
また厳しい会社の場合は成果を残せないことで解雇される可能性もあります。
だからこそ外部人材であるコンサルタントも、自分ごととして自社のDX化に本気で取り組んでくれるのです。
効率よくDX化を進めていく上ではコンサルタントとしても「ノウハウを持った人材が多くなった方がいい」と考えているでしょう。
もちろんコンサルタントの性格や人間性にもよりけりですが、DXはチームで進めるのが基本となるので、実務にも役立つスキルやノウハウも色々と教えてもらえるはずです。
DXに関してのスキルやノウハウを持った人材が増えることは、長い目で見て自社に大きな利益をもたらしてくれる可能性もあります。
DXコンサルタントへ依頼するときの注意点
DXコンサルタントに依頼することで様々なメリットの享受が期待できます。
しかしメリットを最大限享受するためには、事前の準備や適切なコンサルタント選定が重要になるという注意点があることを理解しておきましょう。
注意点
- DXで実現したいことを明確にする
- 経営者層が主体となり変わろうとする意識を持つ
- 社内でDX推進担当者を決めてアサインする
- 自社の目指しているDXに合うコンサルタントを選ぶ
DXで実現したいことを明確にする
最初に考えておくべきことは「DXを通じて何を実現したいのか」という目標を明確にすることです。
DXコンサルタントは自社の目標実現のために最適なソリューションを提案してくれます。
仮に「とりあえずトレンドだからDXに乗っかっておきたい」「DX化すれば非効率を解消できるから」といったおぼろげな目的しか持っていない場合は、DXコンサルタントとしても何をすべきなのか困ってしまってうまく業務を進められません。
コンサルタントは基本的にプロジェクト単位での契約であり、一緒に仕事をできる期間も限られています。
非常に短い期間を最大限有効活用するために、事前にしっかりとDX化の先にある目標を明確化しておきましょう。
目標がぶれていると自社の課題とはマッチしないコンサルタントの選定に繋がってしまう可能性もあります。
経営者層が主体となり変わろうとする意識を持つ
DX化は会社全体に関わる重要な変革です。
DX化の結果次第では、特定の業務や特定の部署が廃止されるような可能性もあります。
だからこそ経営者層が主体となって取り組みを進めていくという意識が重要です。
コンサルタントに依頼する場合には、どうしても任せきりになりがちという傾向があります。
しかし任せきりの状態は失敗に繋がることも少なくありません。
もちろん経営者層としてはほかにも様々な課題があり忙しいことは重々承知していますが、その中でもDX化は最重要課題と捉えることを心がけましょう。
すべてをコンサルタントの言う通りにするのではなく、自社の大事にしている風土や文化が壊されると感じた場合には、しっかりと意見を伝えることも経営者層の重要な役割です。
社内でDX推進担当者を決めてアサインする
DXコンサルタントに依頼する場合でも、必ず自社のDX推進担当者を任命しておきましょう。
一人ではなく数人のメンバーを公募で募って、DX化推進チームを結成しておくのもおすすめです。
基本的にはDX化を推進しようと考えている業務や部署に関する人材をメンバーに入れておきましょう。
また実際にコンサルタントをチームに招き入れる前には、研修によってDXに関する基本的な知識や理解を習得させることも重要です。
DX推進担当者は、自社の将来的な利益や競争力を左右する重大な仕事を任されているという意識を持って、責任感を持って仕事に取り組む必要があります。
自社の目指しているDXに合うコンサルタントを選ぶ
一口にDXと言ってもその方法は多岐に渡ります。
当然コンサルタントの得意領域も、個々のコンサルタントやコンサルティング会社によりけりです。
したがって目指すべき方向性によって、どんなコンサルタントを選定すべきかは異なります。
仮に自社の目指しているDXの方向性とはマッチしないコンサルタントを選んでしまった場合には、当然スムーズなDX化は進みません。
最悪の場合には高額のコンサルティングフィーだけを支払ってほとんど成果を得られないということもあるでしょう。
だからこそしっかりと時間をかけてでも最適なコンサルタントを選ぶ必要があります。
もちろん支払える予算の範囲内でという条件はつきますが、高額のコンサルティングフィーを支払っても長い目で見れば十分にペイできるのがDXのメリットです。
したがって費用面だけではなく、得意分野や実績の有無、人間性なども考慮しながら自社のDX化に貢献してくれるコンサルタントを選定しましょう。
どれだけDX化を急ぎたい場合でも、コンサルタントの選定に長い時間をかける価値は十分にあります。
DXコンサルタントを依頼して成功した事例
DXコンサルタントに依頼をしたことで成果を挙げた会社の事例を紹介します。
資生堂
資生堂は2021年7月より、デジタル領域で多くのコンサルティング実績のあるアクセンチュアと合弁会社「資生堂インタラクティブビューティー株式会社」を新たに設立することで、アクセンチュアのコンサル人材を登用しながらDX化を推進しています。
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて変化した顧客の購買行動やニーズに迅速に対応しながら、以下のようなDXの取り組みを行ってきました。
- SNSの動画を通じてコミュニケーションを取りながら商品を購入できるライブコマースの展開
- 顔認証技術とAI技術を利用したバーチャルメイクアップ体験
- オンライン上でのウェブカウンセリング
結果として顧客一人ひとりが自分にとって最適な商品やサービスを選択できるようになったことで、DXコンサルを活用した成功事例と言えるでしょう。
ワコール
ワコールもDX化を大きく推進して成功している会社です。
2019年5月から『3D smart & try』というAIを活用した接客サービスを展開しています。
また『3D smart & try』を活用しつつ様々な分野との協業を進めており、顧客一人ひとりに対して最適なサービスを開発、提供できる体制が整備されました。
結果として、経済産業省と東京証券取引所によりデジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄『DX注目企業』を2021年度と2022年度の2年連続で選定されています。
ソフトバンク
携帯電話大手のソフトバンクもDXコンサルにより成功した企業と言えます。
特に注目したいのが「落とし物通知依頼書」の処理をDX化したことです。
以前はすべてを専門のシステムに手入力で行っており、作業負担が重いことに加えてヒューマンエラーが頻発するという課題もありました。
しかしDX化の推進によって入力作業がほぼ自動化されたことで、作業時間は大きく削減、さらにヒューマンエラーの発生もほぼゼロとなっています。
非効率の解消といった目に見えた形で成果が出ているので、DXが成功した事例の1つと言えるでしょう。
BMW
BMWはDX化によってBMW i Visualiserというアプリを開発することで、アプリ上で自動車を360度好きな角度から眺めたり、ライトやラジオをつけられたりするという新たな販促方法を生み出しました。
従前の自動車販売方法は顧客が店舗に訪れるというのが一般的だっただけに、オンラインでの販売機会を創出したというのが新たな取り組みです。
結果として顧客にとってはいつでも好きな時に車を見ることができるようになり、検討から購入までの時間を大幅に短縮できるというメリットがあります。
またBMW側にも販売チャネルの増加によって、より多くの顧客にアプローチできるようになったというメリットがありました。
「BMWの車には興味があるけど入店するのはハードルが高い」と感じる人も少なくないですよね。
結果として顧客の裾野が大きく広がったことで、BMWには売り上げ拡大効果が期待されています。
JapanTaxi(日本交通)
Japan Taxiはタクシー業界のDX化を大きく推進している企業です。
アプリでの配車やキャッシュレス決済、翻訳システムの導入などによって、いつでもどこでも誰もがタクシーを使いやすい社会環境を整備しました。
さらに社内に搭載されるタブレットの広告枠を販売することによって、広告収入を得るという新たなビジネスも事業としての展開を進めています。
新型コロナウィルス感染拡大によって外出者とともにタクシー利用者が減少した中でも、出前館との業務提携によって空車となっているタクシーをフードデリバリーに活用するといった取り組みを行ったことは話題となりました。
単に顧客を目的地までに送り届けるという本来のタクシーの業務にとどまらず、インターネットやテクノロジーを駆使して新たなタクシーの活用方法を常に探っているJapan Taxiの姿勢はDXの好例と言えるでしょう。
まとめ
DXは変化の激しいビジネスの世界で生き残るためには必須の取り組みと言えます。
しかしDXは非常に難しい知識やスキルが求められるだけに、自社の人材だけで最適なDX化を進めるのは簡単ではありません。
だからこそ専門性を有するDXコンサルタントにDX化の推進を依頼することが重要と言われています。
DXコンサルタントへの依頼には多額の費用がかかるという難点こそあるものの、将来的に非常に大きな利益をもたらすことを踏まえると投資してみる価値は十分です。
実際にDX化を推進することで、自社の抱える課題を一気に解消して事業を成功させている事例も多く見られます。
変化の激しい現代で取り残されず、他社に対して競争優位を発揮してビジネスを成功させるためにも、うまくDXコンサルタントを活用してDX化を推進することは非常に重要です。
DXでお悩みの際は、ぜひNUVOにご相談ください。
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