DXとAIの関係性は?DX推進でのAI活用ポイントや成功事例を解説
日本では経済産業省がDXの必要性をガイドラインで定めており、近年DXの注目度が高まってきています。
そんなDX推進に欠かせないのがAIの活用です。
AIを活用してビジネスを拡大させている企業を見聞きする機会も増えているのではないでしょうか。
この記事では、DXとAIにはどんな関係性があるのか、AIを活用するポイントや成功事例もご紹介します。
この2つは似ている気がするけど、どんな違いがあるんだろう?
2つの関係性や、成功事例もご紹介しますね!
AIはDX推進の手段
まずは、AIとDXについてそれぞれの概要と関係性を理解することが重要です。
AIとは
AIとは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の頭文字をとった言葉です。
日本語では「人工知能」という意味です。
機械学習や深層学習、自然言語処理などの技術を用いて、人間の知能を模倣し、問題解決や判断などの能力を持ったコンピューターシステムを指します。
AIを活用することで、画像や音声をデータとして認識したり、データの予測をしたりすることができます。
DXとは
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション」」のことです。
企業や組織がデジタル技術を活用して、ビジネスモデルやプロセスを変革し、新たな価値を創造することを指します。
2004年に、スウェーデンにあるウメオ大学の教授であるエリック・ストルターマンが提唱したことが始まりです。
その後2018年に経済産業省がDXを取り上げたことで、日本企業でも重要視されるようになりました。
AIとDXの関係性
AIはDXの推進に欠かせない存在です。
DXによって、ビジネスプロセスの自動化や最適化、顧客データの分析、商品やサービスのカスタマイズなどが可能になります。
DXを推進するための手段として、AIの導入が重要視されています。
ただし、AIを導入すればDXを推進できるわけではないので、AIの特徴を理解して有効な場面を見極めることが大切です。
DX推進にAIの導入が必要な理由
2010年代以降に起きた第4次産業革命では、AI技術の発展により情報伝達の高速化が可能になりました。
インターネットやスマートフォンの普及によって、世の中の動きはどんどん速くなっています。
このような世の中の動きに対応するには、デジタル技術を活用して「速さ」と「正確さ」が求められます。
そのため、様々なメリットが得られるAIの導入は必須になってきています。
DX推進にAIを導入するメリット
DXを推進する上で、AI(人工知能)の導入によって得られるメリットは大きく分けて以下の3つが挙げられます。
- 生産性向上
- 高度化
- 新規事業
それぞれ詳しく紹介していきます。
生産性向上
AIは多くの作業を自動化することができます。
データの収集や分析、書類の作成、メールの自動返信、顧客サポートの自動応答など、様々な業務を効率的に行うことができます。
今まで人の手で行っていた作業をAIが行うことで、従業員の時間や労力を節約し生産性向上に繋がります。
高度化
AIは、従来の手作業では困難だった高度な処理や分析を可能にします。
大量のデータからパターンやトレンドを発見することができ、企業がより戦略的な意思決定を行うことができます。
人間が作業を行うとどうしてもミスが発生してしまいますが、AIではより高度で精密な業務を行うことができます。
新規事業
AIを利用することで、新たなビジネスモデルやサービスの創出が可能になります。
AIを活用した自動運転技術やロボット技術、音声認識技術などは、新しい市場を開拓することができます。
また、AIを活用して顧客ニーズを分析し、新たな商品やサービスを提供することも可能です。
AIを導入してDX推進をするうえでの課題
実際にAIを導入してDXを推進しようと思った時に、いくつかの課題が立ちはだかります。
デジタルリテラシーの低さ
AIを導入するには、従業員がデジタル技術に精通していることが必要です。
まず、経営トップ自身がDXの必要性を認識していなければ、DXは進めることができません。
さらに、DXを推進する社員たちもデジタルリテラシーが低いとDXの進行は円滑にいかなくなります。
経営者と社員が一丸となってデジタルリテラシーを高める必要があります。
レガシーシステム
多くの企業は、長年にわたって使用してきたレガシーシステムを利用しています。
これらのシステムは、古いハードウェアやソフトウェアに依存しており、AIを導入する際には、システムの更新や統合が必要となる場合があります。
レガシーシステムは、システムの老朽化、肥大化、複雑化、ブラックボックス化などの問題を引き起こし、新しいサービスを開始するのが難しく、メンテナンスコストが高くなるなどの問題を生じます。
経済産業省は、レガシーシステムが残存した場合、最大12兆円/年の経済損失が生じると試算しており、これを「2025年の崖」と呼んでいます。
しかし、このような課題を克服することによって、DX導入による多くの価値が生まれます。
AIを活用することにより、新しいサービスやビジネスモデルを創出することができ、業務の効率化やコスト削減、顧客サービスの向上などのメリットがあります。結果的に、企業の競争力が向上し、成長を促進することができます。
人材不足
人材不足はDX推進における大きな課題となっています。
DXに必要な最新技術やビジネスに精通した人材が不足しており、急ピッチでの人員増加は困難を極めています。
さらに、既存システムの運用・保守にも多くの技術者を必要とし、その不足感はますます強まっています。
高齢化した技術者が増える中、先端技術を学んだ人材たちも運用・保守に従事することが多く、DXに必要な人材の確保がますます難しくなっていると言えます。
この課題を克服するためには、人材育成や社員の多角化、外部の人材活用などが求められます。
また、DXを推進することで、社員の働き方改革や新たな価値創造を実現するなど、企業の成長戦略の一環としても価値があることを忘れてはなりません。
DX推進でのAI活用ポイント
DX推進においてAIを最大限活用するためには、データの収集とビジョンの設定が重要なポイントです。
それぞれ詳しく解説します。
データの収集をする
AIはデータに基づいて学習するため、データの質や量がAIの精度に大きく影響します。
そのため、DX推進においては目的に合わせたデータの収集が必要不可欠です。
ただし、大量のデータを収集するだけではなく、データの質も考慮する必要があります。
誤ったラベリングやデータの偏りは、AIの精度を低下させるため、データの質を確保することが重要です。
ビジョンを決めてPDCAにより継続して改善する
DXを推進するためには、まず「明確な目標設定」が必要です。
AIの導入により、どのような課題を解決し、どのような状態を目指すのかを社内で共有しましょう。
ただし、AIによる効果が発揮されるまでには時間がかかる場合もあるため、長期的な計画を立てることが重要です。
ビジョンを達成するためには、PDCAサイクルを繰り返し行うことが重要です。
AIを導入したときの注意点
AIはDX推進に有益な技術ですが、導入に際しては注意点が存在します。
AIによる差別・判断ミス
マイクロソフトのAIボット「Tay」が人種差別的発言を行った事例や、顔認識AI技術を活用した捜査で誤った男性を拘束した事例があります。
これは、偏ったデータやラベリングなどが原因とされています。
AIの精度には限界があり、完全なものではありません。
そのデメリットも理解しながら社会に応用していくことが必要です。
個人情報の保護
AIを用いてユーザーに最適な広告を提供することができる一方で、プライバシー性の高いデータはユーザーの許諾を得てから活用することが求められます。
2019年には、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、学生の許可なく個人情報を他社に販売したことが問題視された事例があります。
プライバシー性の高いデータは、個人の自由、尊厳、平等性が侵害されないように配慮が必要です。
AI導入によるDX推進の成功事例
DXとAIの関係性やAIを活用するポイントをご紹介してきました。
ここからは、私たちの生活で身近なところにあるAI導入による成功事例をご紹介します。
無人決済システム
株式会社ファミリーマート、株式会社TOUCHTOGO、東武鉄道株式会社、東武商事株式会社は、新たな無人決済システムを開発しました。
このシステムは、鉄道利用者がウォークスルーで短時間で買い物ができることを目的としています。
天井のカメラと棚のセンサーによって、完全無人決済が可能です。
このシステムを導入することで鉄道利用者の利便性が向上し、非対面決済の推進とコスト削減が可能になりました。
同じようなサービスに、Amazon Go無人決済店舗があります。
このシステムは、カメラとAIによって実現されています。
買い物をする人専用アプリを事前にインストールして入店します。
商品をバッグや袋に詰めて店舗から出る際、店内のカメラによって購入商品が自動的に判断され精算と決済が自動的に完了します。
無人決済システムには、共通して利便性と非接触決済のメリットがあります。
特に、鉄道利用者のように時間的余裕がない人々にとっては、短時間で買い物ができることが大きな価値となります。
また、人材不足を解消することも可能であり、コスト削減にもつながります。
Amazon Go無人決済店舗では専用アプリをインストールすることが必要なため、デジタルリテラシーの高さが求められます。
待ち時間予測システム
NECが提供する羽田空港の保安検査場システムは、混雑状況を自動分析・可視化し、利用者はどちらの検査場を利用すべきかを判断できます。
導入前は手荷物検査に長時間並ばなくてはならず、時間を無駄にすることが多くありました。
導入後は混雑状況が一目でわかるので、利用者の利便性向上に繋がりました。
また、検査場の利用率の平準化により航空機運航の遅延減少も期待できます。
このシステムの導入により、よりスムーズでストレスの少ない空港利用が可能になります。
製造業での外観検査工程
AI技術の中でも、画像認識技術は高度で幅広く実用化されています。
その中でも注目されるのが、製造業における製品・部品の外観検査の自動化です。
従来の目視検査は人手不足や熟練工の退職などの問題があり、検査機によるルールベースの検査も汎用性に欠けるという課題がありました。
AIを用いた外観検査では、製造ライン上にカメラを設置し、AIに製品や部品の画像を読み込ませることで、正常品と異常品を自動的に判別することができます。
これにより、人手不足に悩まされることなく、かつ汎用性の高い検査を実現できるようになりました。
スマートスピーカー
スマートスピーカーは、音声操作に対応したAIアシスタントを搭載したスピーカーであり、日常生活でAIが活用される代表的な例です。
音声だけで様々な指示を行え、例えば「音楽流して」と伝えるだけで音楽を流すことができます。
手を使わずに快適に操作ができる点も魅力的です。
また、対応家電の操作やニュースや記事の読み上げも可能です。
現在、AmazonやAppleをはじめとする多くの企業がスマートスピーカー製品を提供しており、私たちの日常に浸透しています。
自動運転
最近の自動車には、安全支援システムや走行支援システムが多く搭載されるようになっています。
これらのシステムの多くはAI技術により実現されています。
車に搭載されたカメラは画像解析技術を使って、車線や標識、先行車などを認識することができます。
現在の自動運転技術は、運転者の操作を支援する位置づけのものであり、完全な自動運転はまだ実現できていません。
しかし、画像処理に関する技術が向上すれば、将来的には自動運転が100%実現する可能性があります。
自動運転が実現すれば、交通事故の減少や渋滞緩和など多くのメリットが期待されます。
まとめ
この記事では、AIとDXの関係性や、DX推進におけるAI活用事例や導入ポイントなどについて紹介しました。
AI技術の発展は、ビジネスにおける可能性を大幅に広げてくれるものですが、分野によって技術水準が異なるため、利用範囲には限界があります。
DXを推進するにあたっては、AIの適用範囲を正確に把握し、効果的に活用することが大切です。
DXは長期的な取り組みであり、成果が直ちに現れるものではありません。
データ収集や目標設定、持続的な改善に加え、社内のAI人材を育成することが重要です。
DX推進でお悩みの方は、ぜひ一度NUVOにご相談ください。
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