ヘッドレスCMSとは?従来型との違いや代表的なツールも紹介

ヘッドレスCMS

「ヘッドレスCMS」とは次世代型のCMSで、フロントエンドのないCMSのことです。
通常のCMSと異なりフロントエンドとバックエンドが完全に切り離されており、それぞれが独立してシステム変更が可能です。
本記事では、ヘッドレスCMSのメリットや通常のCMSとの違いについて解説し、代表的なヘッドレスCMSをご紹介します。

最近ヘッドレスCMSが注目されていると聞いたよ。
今までのCMSとは何が違うのかな?
ヘッドレスCMSは欧米から普及し、最近は日本でも注目されてきています。
どんな特徴があるのか、従来型との違いも踏まえて解説していきますね!

ヘッドレスCMSとは

コーディング

ヘッドレスCMSは、従来のCMSとは異なるアプローチを取るWeb制作の手法です。
従来型のCMSではコンテンツ管理とフロントエンドの表示が密接に結びついていましたが、ヘッドレスCMSではこの二つを分離することでより柔軟なウェブサイトやアプリケーションの開発が可能となります。
従来のCMSではフロントエンドのデザインや開発に制約がありましたが、ヘッドレスCMSでは外部で自由にビュワーを設計できます。
また、異なるプラットフォームやデバイスに対応しやすく、コンテンツの再利用性も高まります。

従来型のCMSとの違い

従来のCMSでは、コンテンツの入稿システムと表示用のビュワーが組み合わさっています。
このうち、入稿システムはバックエンド、表示用のビュワーはフロントエンドと呼ばれています。
そして、従来のCMSのフロントエンドの部分を「ヘッド」と呼んでいます。
一方、ヘッドレスCMSは純粋にコンテンツを管理するためのシステムであり、表示用のビュワー、つまり「ヘッド」は存在しません。
代わりに、外部でビュワーを作成する必要があります。
ヘッドレスCMSでは、API(Application Programming Interface)を通じてコンテンツ情報にアクセスし、外部で作成したビュワーがそれを表示する仕組みです。

ヘッドレスCMSが注目されている理由

ヘッドレスCMSは2018年頃から注目され始めましたが、注目を浴びている理由はいくつかあります。
まず、フロントエンドの自由度が高い点が挙げられます。
従来型のCMSではフロントエンドのデザインや開発に制約がありましたが、ヘッドレスCMSではフロントエンド部分を自由に設計できます。
これにより、ユーザーエクスペリエンスを重視した魅力的なウェブサイトやアプリケーションを構築できます。

 

また、ヘッドレスCMSはスケーラビリティにも優れています。
バックエンドとフロントエンドが独立しているため、異なるプラットフォームやデバイスに対応しやすくなります。
さらに、コンテンツの再利用性が高くなるため、複数のプロジェクトで同じコンテンツを活用することができます。

ヘッドレスCMSを導入するメリット

サーバー

ヘッドレスCMSには、以下のようなメリットがあります。

 

メリット

  • マルチデバイスに対応できる
  • 表示速度が速い
  • デザインの自由度が高まる
  • セキュリティ対策になる
  • webサイトの一部だけに対応できる

マルチデバイスに対応できる

ヘッドレスCMSの導入により、webサイトやアプリケーションを異なるデバイスに対応させることが簡単になります。
従来のCMSではフロントエンドとバックエンドが密結合していたため、デバイスごとに異なる表示形式を実現するのが困難でした。
ヘッドレスCMSではAPIを介してコンテンツを提供するため、フロントエンド側で柔軟に表示を調整することができます。
webサイトだけでなく、スマホアプリやデジタルサイネージなど、異なるデバイスでもコンテンツを活用することが可能です。

 

また、一つの管理画面から情報を一括して配信・更新できるため、発信漏れやタイムラグの心配もありません。
ヘッドレスCMSの導入により、コンテンツの効率的な配信と管理を実現し、柔軟性とタイムリーな情報提供を実現することができます。

表示速度が速い

ヘッドレスCMSを使用して構築されたwebサイトは、従来のCMSで作られたwebサイトに比べて表示速度が向上します。
ヘッドレスCMSではフロントエンドとバックエンドが切り離されており、コンテンツの提供と表示が効率的に行われます。
このためデータの取得や処理が最小限に抑えられ、ユーザーにとってスムーズな読み込み速度が実現されます。
従来のCMSではコンテンツの提供と表示が同じシステムで行われていたため、処理が煩雑になり、表示速度に影響が出ることがありました。

 

しかし、ヘッドレスCMSではバックエンドがコンテンツの管理に特化し、フロントエンドはコンテンツの表示に集中するため効率的な処理が可能となります。
これにより、ユーザーはwebサイトにアクセスしたり画面遷移を行ったりする際に待たされるストレスを感じずにサイトを使用することができます。
表示速度の遅さはwebサイトの離脱率の上昇につながる可能性があるので、運用においても重要な要素です。
また、表示速度が速いほど検索エンジンのSEO効果も高まり、集客にも貢献します。

デザインの自由度が高まる

ヘッドレスCMSでは、コンテンツの管理をするバックエンドと、ユーザーに実際に表示されるフロントエンドが別々に構築されています。
このため、フロントエンドの改修やアップデートを行ってもバックエンドには影響を与えることがありません。
従来のCMSでは、テンプレートやスタイルの制約に縛られることがありましたが、ヘッドレスCMSでは外部で独自のビュワーを開発することができるためデザインのカスタマイズやブランドイメージの表現が容易になります。

 

ユーザーにとってヘッドレスCMSを使用したサービスでは、デバイスや使用環境に応じたUIを利用することができます。
フロントエンドをチャネルごとに個別に開発や改修することができるため、iOSのユーザー向けにフロントエンドをアップデートしたり、Androidユーザーが増えた場合に専用アプリを開発するなど、柔軟な対応が可能です。

セキュリティ対策になる

ヘッドレスCMSの導入により、セキュリティ対策が強化されます。
個人情報を扱うWEBサービスやデータベースを含むWEBサイトは、サイバー攻撃の標的になる可能性があります。
多くの場合、攻撃は動的ファイルを介して行われます。
従来型のCMSでは、一般的にwebサイトがサーバーとデータをやりとりし、動的にファイルを構成して表示します。
そのため、攻撃の対象となる箇所が増えてしまうのです。
一方、ヘッドレスCMSでは、フロントエンドにはHTMLやCSS、JavaScriptファイルなどの静的ファイルのみが配置されるため、攻撃に弱い部分を大幅に減らすことができます。
これにより、セキュリティのリスクを低減することができます。

 

また、従来型CMSの中でも圧倒的なシェアを持つWordPressは、サポートが充実しているわけではありません。
自分でアップデート情報を収集し、バージョン管理を行う必要があります。
さらに、信頼性の低いプラグインも利用されていることがあります。
適切なアップデートを行わなければ、脆弱性を見逃すことになりサイバー攻撃の標的にされる可能性があります。
WordPressはエンジニアが不在でも運用が可能な利点がありますが、同時にその弱点も認識する必要があります。

webサイトの一部だけに対応できる

ヘッドレスCMSはwebサイトの一部分だけを対象にすることができます。
従来のCMSでは全てのページやコンテンツが一括して管理されており、静的なWebサイトを制作した後に一部のページを後からCMSにすることはできません。
しかし、ヘッドレスCMSではAPIを介して必要なコンテンツを取得し、特定のページやアプリケーションに組み込むことができます。
このため、特定のセクションやマイクロサイトに関連するコンテンツを独立して管理することができます。
これにより、既存のWebサイトを大幅に変更せずに、特定のページを柔軟に更新できるようになります。

ヘッドレスCMSを導入するデメリット

タスク

ヘッドレスCMSは導入する企業にとってもユーザーにとってもメリットが多くありますが、一方でデメリットも存在します。

 

デメリット

  • 費用が高くなる場合がある
  • フロントエンドの開発が必要
  • 動的機能には外部ツールが必須

費用が高くなる場合がある

ヘッドレスCMSを導入する際には、従来のCMSと比べて費用が高くなる場合があります。
ヘッドレスCMSの特徴は、柔軟性と自由度の高さです。
しかし、この柔軟性を活かすためにはカスタム機能や追加機能の開発が必要となることがあります。
特定の動作や処理、データの統合などを実現するためには、それに適した機能を別途開発する必要が出てきます。

 

また、コンテンツの量が多い場合にはそのコンテンツを効果的に管理するための仕組みやスケーラビリティを考慮する必要があります。
大規模なコンテンツを扱う場合にはそれに応じたインフラストラクチャやリソースの確保が必要となり、それに伴う費用がかかることもあります。
企業の規模や要件によっては、予算を見直す必要があるかもしれません。

フロントエンドの開発が必要

ヘッドレスCMSを導入するだけではコンテンツの表示方法がない状態なので、コンテンツの表示やビューの設計については別途フロントエンドの開発が必要です。
ヘッドレスCMSを導入する際、コンテンツの表示を担当するインターフェースは自由に選ぶことができます。
これにより使いやすいユーザーインターフェースや独自のデザインを実現することができます。
ただし、この自由度には開発者のスキルが求められます。

 

フロントエンドの開発には、HTML、CSS、JavaScriptなどの技術やツールの知識が必要です。
フロントエンドの開発には時間やリソースがかかることを考慮し、計画を立てる必要があります。

動的機能には外部ツールが必須

ヘッドレスCMSでは、コンテンツデータを静的ページとして管理します。
動的な機能やインタラクションを実現する場合、外部ツールやサービスとの組み合わせが必要になることがあります。
例えば、フォームの送信やユーザー認証、ショッピングカートなどの機能を実装する場合、別途サードパーティのツールや開発者リソースを活用する必要があります。
これにより、システムの複雑性や管理の手間が増える可能性があります。

代表的なヘッドレスCMS

コーディング

ヘッドレスCMSは近年のウェブ開発において注目を集めており、国内外で様々なヘッドレスCMSが提供されています。
その中から、いくつかの代表的なヘッドレスCMSを紹介します。

microCMS

microCMSは、使いやすさとパフォーマンスのバランスが取れたヘッドレスCMSです。
日本製のAPIベースのヘッドレスCMSであり、大企業を含む多くの企業で導入されています。
無料プランから始めることができ、日本語のサポートも提供されているため、利便性が高いです。

 

また、豊富なドキュメンテーションやサポートにより、スムーズな開発プロセスをサポートしています。
大企業への導入事例が多いことからも、安定性と信頼性が高いことが伺えます。
小規模なプロジェクトから大規模なビジネスにまで幅広く対応しており、成長に合わせて柔軟に拡張することができます。

Kuroco

Kurocoは、日本のヘッドレスCMSの中でも注目されているプラットフォームです。
SaaS型のCMS「RCMS」をベースにしており、ECや会員管理機能において優れた性能を持っています。
RCMSは多くのユーザーに支持されてきたCMSであり、その経験とノウハウを取り入れています。
豊富な機能と高度なカスタマイズ性が特徴であり、多様なプロジェクトに適用することができます。

 

また、APIの使い勝手の良さや充実したドキュメンテーションも評価されています。
日本企業による開発とサポート体制も魅力の一つです。
言語やカルチャーの違いによるコミュニケーションの壁が低く、迅速かつ適切なサポートを受けることができます。

Contentful

Contentfulはドイツ発祥のヘッドレスCMSで、グローバルに利用されています。
柔軟なデータモデルと豊富な拡張性により、さまざまなプロジェクトに適用できます。
また、複数のチャネルに対応したコンテンツ配信や、強力なワークフロー管理機能も備えています。
豊富な開発実績と多様な機能を備えていますが、現時点では英語ページのみをサポートしています。
日本語や他の言語に対応する場合には、翻訳やカスタマイズが必要となります。

GraphCMS

GraphCMSはMetaが開発したヘッドレスCMSで、APIとして「GraphQL」を活用しています。
GraphQLの強力なクエリ言語を使いながら、コンテンツを効率的に管理・配信することができます。
APIの使いやすさやスケーラビリティの高さが特徴であり、開発者にとってもスムーズで使いやすいです。

HeartCore

HeartCoreは、日本の企業向けに開発されたヘッドレスCMSです。
写真、動画、イラストなどの素材データやWebコンテンツなど、あらゆるデジタル資産を一元管理することができます。

 

そのため、Webサイトの運用にかかる労力や、コンテンツの増加による管理の負担を軽減することができます。
HeartCoreはヘッドレスCMSの機能を拡張し、Webだけでなく、SNSやサイネージなどのコンテンツも効果的に管理することができます。
高速かつ安定したパフォーマンスを提供し、多言語・多地域展開にも対応しています。
また、統合されたバックエンド機能や柔軟なカスタマイズ性により、ビジネスニーズに合わせたカスタムソリューションを実現することができます。

まとめ

DX

WordPressはこれまで広く選ばれてきたCMSですが、最近ではその運用上の限界が見えてきたり、多様なデバイスの普及により、ヘッドレスCMSの必要性が高まっています。
ヘッドレスCMSは、新規webサイトに導入するだけではなく、Webサイトのリニューアルにも大きなメリットがあります。
これからWebサイトをCMS化したいと考えている方にとって、ヘッドレスCMSは選択肢の一つとなるでしょう。
便利な一方でスキルのある開発者が必要なヘッドレスCMSですが、NUVOでは動的機能の導入まで全て依頼できます。
集客や売り上げに貢献できるホームページを作成したい場合には、ぜひNUVOにご相談ください。

https://d-nuvo.com/index.html

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